Sturmey Archer（スターメーアーチャー）と言えば、MOULTONやらBROMPTONといったイギリス発の「高級な」小径車と一緒に語られることが多く、あまり縁のなかった方も多いかと思います。かくいう私も今回恥ずかしながらはじめてのスタメになります。その歴史は古く、創業1902年、そのころから内装変速ハブを作っていたというから想像もつきません。スターメーアーチャー社も紆余曲折あり、また日本で入手が難しい時期もありましたが、最近になりある程度手に入りやすい状況が整ってきています。今回ぜひともご紹介したい商品がありましたので、その魅力を力不足ではありますが、あますところなく伝えていければと思います。その第1回目になります。

注文していたものが届きました。

まずは、クランク。シンプルなフォルムが逆に新鮮ですね。いわゆるBB軸一体型のクランクが増えてきましたが、こちらが旧来からの四角テーパータイプです。妙な安心感があります。

フロントハブです。アノダイズ加工のレッドがまぶしいカワイイハブです。カタチ的にはよくあるラージフランジハブですが、スターメーのロゴが誇らしげです。

今日のメインはコレです。一見しただけでは普通の内装変速ハブのように見えます。ブレーキアームも出ているので、コースターブレーキ内蔵ということも分かります。

左側面です。DUOMATICと書いてあります。これはまさか、、、、、、、、、、、、、、

DUOMATICですが、簡単に申し上げると「キックシフト式内装2段変速ハブ」です。「キ、キックシフトだって！？」という方にご説明すると、クランクを軽く逆回転することによってシフト操作ができるんです。これはコースターブレーキ仕様なので、多めに逆回転するとブレーキがかかります。DUOMATICの歴史は意外に古く、少なくとも何十年か前から存在しています。

ホンダのスーパーカブが開発時に「出前の岡持ちを片手で持っても運転できるようにしろ！」という本田宗一郎氏の一言から、右手にアクセル、前ブレーキ、ウインカーといった操作系統を集中し、遠心クラッチを使うことで左手はクラッチ不要でハンドルをつかむ以外何もしなくてもよいようになっているのと同様に、こちらのS2Cハブ（DUOMATIC＆コースターブレーキ仕様）ですと、右手で前ブレーキ、足で駆動、変速、後ブレーキができるので、左手で岡持ちを持って出前、という最速出前仕様に仕立てることも可能です。全国のおそば屋さんから問い合わせが殺到してもおかしくないと思っています。（通常の変速のように右手でシフト操作してもいいじゃん、という突っ込みはなしで。）

現実的なお勧めポイントとしては、ケーブル類が前ブレーキワイヤのみで済みますので、自慢の美しいフレームにこれ以上ワイヤを絡ませたくない！（でもシングルスピードはきついわ）というお客様のご要望に応えるものとなっています。
シマノ・カンパ・スラム（とその互換）のようなスタンダードなコンポーネンツの世界に飽きてきた方、ちょっと人に自慢できるうんちくが欲しい方には非常にそそられるカスタマイズかと。見た目もカワイイしその割にはお安くなってますしね。
内装変速クランク（Truvativ HammerSchmittやFSA Metropolis）と組み合わせて、前2段、後2段の4段変速にしてみるとか、楽しいアイデアは尽きませんね。

ちなみにこのハブ、重量は1400g。まるで鉄の塊のような重量感ですが、シマノアルフィーネ11段は1665gですので比べると200g以上軽量です。（変速段数は圧倒的に少ないですけどw）
OLD（幅）は116mm、チェーン引きかスペーサーを入れて120mmに合わせます。1速が100%、2速が138%の増速になります。

お店では、このS2Cハブ（と前述のクランク、前ハブ）を使って自慢の1台を組み立てていく過程をちょっとずつご紹介していきます。ご期待ください。

・クランク：10500円（税込）ほかにゴールド・ピンク・ブラック・レッド・ブルーがラインナップされています。シルバー以外は11500円（税込）
・フロントハブHBT30：4725円（税込）ほかにゴールド・ピンク・ブラック・シルバー・ブルーがラインナップされています。シルバーは3990円（税込）32H
・S2C DUOMATICハブキット ：17800円（税込） ほかにゴールド・ピンク・ブラック・シルバーがラインナップされています。シルバーは16800円（税込）32H